輪行とは

遠方のサイクリングエリアへ移動するために、自転車を袋に収納し公共機関(電車、バス、飛行機、船など)に乗せて移動すること。近場、遠方、国内、国外によって、また公共交通機関によっても、その方法は変わってきます。

比較的近距離の場合は自己運搬になるために、運び易く簡便な梱包が望ましい。遠距離で飛行機などへ積込む場合には、預ける形となるのでしっかりとした梱包が必要となります。

1、電車の場合

JR,私鉄問わず梱包した状態で積込むことができます。その際、料金は派生しない場合が多いです。

2、船の場合

大型フェリーなどでは、完成車状態では別途料金が派生するが、梱包すると手荷物として客室へ持込むことができます。明石と淡路島岩屋を結ぶジェノバフェリーの場合には手荷物扱いは無く、別途料金が派生します。完成車状態で持込むこととなります。

どちらにしても、各船舶会社に確認の上持込むことが必要です。

3、飛行機の場合

国内線の場合には、航空会社の規定に従って梱包サイズ等の確認が必要。JAL,ANA等に於いては自転車の運搬料金は規定サイズ内ならば無料となります。格安航空会社ピーチ、スカイなどでは別途預け荷物規定により自転車は料金がかかります。

海外の場合は航空会社により預け荷物規定により料金が設定されています。

各利用する航空会社の利用規定を確認した上でご利用ください。

4、バスの場合

国内のバスは基本的に持込めないのが実情。ただ、すべてがそうかと言うとそうでもないので、利用するバス会社に直接確認をとって利用するようにしてください。

自由さが絶対条件

車に載せて自転車を運ぶこともありますが、車の場合には輪行とは言いません。あくまでも、公共交通機関で運ぶことが前提となります。

その理由としては、輪行は「自由」であることが絶対条件だからです。車の場合には、移動先で車を駐車しておかなければいけません。当然帰りも車で帰るので自転車は車のところまで戻る必要があります。

そのことは、自転車で動き回る「自由さ」に制約を与えることとなってしまうのです。公共機関であればA地点で降りてもB地点から帰ることもできます。さらに、途中で寄り道したい場所ができたなら、予定ルートを変更してしまうこともできるのです。それこそが、「自転車の旅」の意味があるのです。このように、自転車の旅は自由であってこそ楽しみが増えるというものです。

と考えると、車での輪行は考えられないと言うことに気が付くでしょう。自転車の旅というものは、一旦家を出たならばその先は予定の無い自由気ままな世界なのです。

輪行のハードル

輪行を実行しようとするならば、練習しておかなければいけないことがいくつかあります。その中で最も大切なことが梱包です。

輪行袋へ自転車を綺麗に梱包する技術は多少難しいものがあります。前後輪をはずすこととなるので、そのはずし方を知らなければいけないし、また組立て方も覚えておかなければいけません。そのためには、少し自転車の構造も知っておいた方が良いでしょう。メカに無頓着であると、出先で大変な目に会うことは目に見えています。

脅かす訳ではないのですが、肝に銘じておかなければいけないことでもあります。もし、それができないのであるのなら、輪行を諦めた方が得策かもしれません。ただ、それは長い目でみると、自転車ライフ自体を諦めることにも繋がってくるので、そこは良く考えてみるべきでしょう。

輪行のマナー

輪行で大切なのがこのマナーです。マナーは道徳的なものなので、ここでこうしなさいというようなものでもないと思います。まずは、自分で考えて回りの人々に迷惑や不愉快な思いをさせないようにするにはどうしたら良いのか考えてみることです。各個人でそれらを真剣に考えたならばおのずと答えは出てくるものと思われます。

電車の中では自転車は場所を取り邪魔になるのは当然です。そのときに、どのように行動したら良いのかは個人次第ではないでしょうか。とりあえず、公共のルールは守らなければいけません。その上で、どうしたら良いのかを考えるべきです。

電車に於いては、荷物の大きさよりもマナーの悪さに乗客の意識が集中してしまう傾向があるので、大きな荷物をさも乗せて当たり前のように扱うことは控えたほうが良いのではないでしょうか?

店長は常々、大きな荷物(自転車)を担いで歩いたりすることの大変さをアピールしています。大変さをアピールすることで、周囲の人達は意外にも共感(同情?)してくれたりするのです。車内でもできる限り邪魔にならないような場所を確保して、 すみませんモードを全開にすれば通勤客も自転車に対して興味を示してくれると同時に好意をも抱いてくれるようになるのです。

マナーさえ良ければ決して悪意で見る人はほとんどいないですね。どちらかというと好意で興味を示す人のほうが多いと感じます。山でMTBで走っているときにハイカーとどのようにお付合いするかと似ています。

マナーは決まりごとではないので、どこをどうのといったことはないのですが、自分が相手を思いやって、できることを実践してゆくことが必要になると思います。

楽であるが故に、長続き

輪行初心者にありがちなのが、過剰装備です。自転車にいろいろなものが付いていてそれらをひとつひとつ梱包しているといつまでたっても梱包が終わりません。いろいろなパーツを守らんがためにプロテクターを付けまくっては梱包はいつまでたっても終わらないのです。帰るころには、クタクタとなり気持ちは「もう二度と輪行などするものか!」となってしまいます。そんな苦い経験をすれば誰でも輪行したくはならないだろうと思います。

輪行袋について

自転車の梱包はソフトケースに収納することです。最近は輪行袋も多数市販されていて種類も豊富となっています。しかし、種類は大きく二つに分けて、両輪はずしタイプと片輪はずしタイプです。ハードケースという場合もありますが、ハードケースは特殊な場合で、レースとかに於いて機材を完全な状態で運ぶ場合に限られます。海外へは航空会社によっては荷物の取り扱いが雑なところもあるので、ハードケースを使う場合があります。もちろん、ハードケースの場合には持ち運ぶことはできないのでそこを考慮する必要があります。

市販されているモノでは両輪はずしのモノが主流となりつつあります。それには理由があって電車に荷物を載せる場合の荷物のサイズに制限があり、片輪の場合にはその制限を超える場合がでてきてしまうからです。どんな交通機関であってもサイズの確認はしておくことに越したことは無いのですが、電車に限ってはそこまで窮屈に縛られてはいないのが現状です。

実際の梱包作業

自転車は輪行袋へ収納することは分かっていると思いますが、実際屋外で梱包作業を行ううことは、結構大変です。

まずは、作業スペースを確保しなければいけません。さきほどのマナーのお話と同じで顰蹙(ひんしゅく)を買うような場所ではだめですね。通行人から少しでも離れた邪魔にならないスペースを探しましょう。経験上そのような場所は結構沢山あります。さほど苦労せずして探すことはできると思います。

そして、大切なことは実際の梱包作業は簡単でスピーディに徹することです。テキパキと作業をこなす様は客観的に見ても気持ちの良いものです。ですから、だらだらとせずにテキパキとこなす必要があります。そのためにも、作業の手順をしっかりと覚えておく必要があるのです。

スピーディにこなすには、作業の工程自体もシンプルでなければいけません。作業工程を減らすためにできる限り手をかける所はシンプルにしましょう。過剰な用心を省くことです。電車での輪行に於いては自転車は自分で管理することになるので、自分が扱いに気をつけていれば済んでしまうことも沢山あります。輪行時の自転車の扱い方の違いは出てきますね。もし扱いに自信がないのであれば梱包も用心して時間をかけなければいけないかも知れません。経験や練習によって解決される要素も沢山あるのです。経験値を高めることで、輪行のレベルも高まってくるというものです。

ちなみに、店長の場合梱包作業にかける時間は5分です。その時間でできる内容でもあるのです。ですが、長い輪行の経験を持ちますが、自転車がどうにかなってしまったということは今まで一度もありませんし、周りの人々に迷惑をかけたこともありません。

輪行のメリット

ロングライドで輪行袋を携帯しているだけで、途中トラブルがあってもリタイヤできると考えたならば、とても気楽に走ることが可能となります。

走るルートを鉄道沿線に設定することで、いつでも最寄の駅にてリタイヤすることができます。これらは、特に初心者にとっては便利です。最近の輪行袋は軽量に仕上がっていますので、それによる重量増はありません。メリット大ですね。

遠出ができます。近場のエリアでのサイクリングが一通り終わると今度は少し遠くのエリアを散策したくなってきます。そんなときに輪行をすると便利です。

たとえば、行きだけ電車に乗って移動して帰りはすべて自転車で走ったり、行きに自転車で走ってできる限り遠くまで走ったならば、帰りはのんびりと電車で帰る。というようなことが可能となるのです。またルート上で走ってもつまらないような道だったり、危険な道の場合にはその区間を電車で移動すると言ったことも可能となります。